アウディ・Q8 e-tron

曖昧さ回避 この項目では、アウディの量産モデルについて説明しています。同社のコンセプトカーについては「アウディ・e-tron」をご覧ください。
曖昧さ回避 同名のガソリンエンジン車については「アウディ・Q8」をご覧ください。

Q8 e-tronとはアウディが販売する高級EV車である。

アウディ・Q8 e-tron
GE系
Q8 e-tron
Q8スポーツバック e-tron
概要
製造国 ベルギーの旗 ベルギー
販売期間 2019年-
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 5ドアクロスオーバーSUV
駆動方式 4WD
プラットフォーム MLB Evoプラットフォーム
パワートレイン
モーター 交流誘導モータ
前後:マルチリンク式
前後:マルチリンク式
車両寸法
ホイールベース 2,930 mm
全長 4,915 mm
全幅 1,935 mm
全高 1,620-1,635 mm
車両重量 2,600 kg
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発売当初はe-tronの名称で販売されていたが、2022年のフェイスリフトにて現在の車名に変更された。 [1]

概要

発表から量産まで

2015年のフランクフルトモーターショーにてコンセプトモデル「e-tron quattroコンセプト」が初公開され、また2017年の上海モーターショーにてSUVクーペタイプのコンセプトモデル「e-tronスポーツバック」が初公開された。[2] [3]

e-tronの量産プロトタイプは2018年のジュネーブモーターショーで公開され、同年9月にブリュッセル工場にて量産が開始された。市販モデルは同年9月にロサンゼルスで初公開され、ベースモデルは2019年3月、スポーツバックは2020年春に欧州で発売された。日本市場ではベースモデル・スポーツバックともに2021年1月に販売が開始された。 [4] [5] [6] [7] [8] [9]

設計

Q8 e-tronのプラットフォームはQ5などと共通のMLB Evoプラットフォームで、床下にリチウムイオンバッテリーを搭載する。ボディ全長はQ5とQ7の中間に位置するサイズである。既存モデルと共通するボディラインとフロントグリルが採用される一方で、アンダーフロアのフラット化やエアロホイールなどの採用により空力が向上し、Cd値はベースモデルで0.28、スポーツバックで0.26に抑えられた。 [10] [11]

またオプションとしてアウディ初となるバーチャルミラーが採用され、バーチャルミラー搭載時にはCd値がベースモデルで0.27、スポーツバックで0.25まで低下する。量産車へのバーチャルミラーの採用例はレクサス・ESに次ぐ2車種目である。 [10] [12] [13]

インテリアも既存モデルに類似したセンターディスプレイとバーチャルコックピットで構成される。スイッチ類を最小限にしつつも、既存のアウディ車から乗り換えても違和感を感じない操作系となっている。 [10] [14]

e-tron S

2020年秋、欧州にてベースモデル・スポーツバックそれぞれに高性能グレード「e-tron S」が追加された。日本では2022年4月に販売開始。 [15] [16]

Sモデルでは通常モデルに対してリヤモータが1基追加され、1基のフロントモータと2基のリヤモータで構成される。システム全体の最高出力は370kW(503ps)、最大トルク99.2kg-m(973Nm)を発揮し、ブーストモードONの状態で0-100km/h加速は4.5秒に達する。エクステリアには専用のバンパーとアルミニウムルックのミラーハウジング、専用アルミホイールなどが追加される。またオプションとしてアダプティブ機能をもつデジタルマトリクスLEDヘッドライトが初採用された。 [11] [17]

フェイスリフト

2022年11月にフェイスリフトが実施され、名称がe-tronからQ8 e-tron(スポーツバックはQ8スポーツバック e-tron)に、またSモデルはSQ8 e-tronに変更された。日本では2023年3月に発表された。 [1] [18]

エネルギー密度を向上した改良型のバッテリーと、効率を改善した新型のモータが搭載された。またスポイラー等の改良などにより空力性能も改善し、Cd値はQ8 e-tronで0.28から0.27に、Q8スポーツバックe-tronで0.26から0.24に低下した。これらの改良によりバッテリー容量が「50」で24kWh、「55」で16kWh増加し、WLTPモード航続距離は「50」で89km、「55」で78km増加した。 [18]

インテリアには旭化成のリサイクル合皮「ディナミカ」が使われたシートや、プラスチック廃棄物から再利用されたシートベルトバックルカバーといったリサイクル素材が新たに採用される。 [18]

  • e-tron quattroコンセプト
    e-tron quattroコンセプト
  • インテリア
    インテリア
  • バーチャルミラー
    バーチャルミラー
  • e-tron (フェイスリフト前)
    e-tron
    (フェイスリフト前)
  • e-tronスポーツバック (フェイスリフト前)
    e-tronスポーツバック
    (フェイスリフト前)
  • Sスポーツバック (フェイスリフト前)
    Sスポーツバック
    (フェイスリフト前)

動力

動力のラインナップは以下の通り。ラインナップはベースモデルとスポーツバックで共通。フロントとリヤに1基ずつのモータを搭載し、Sモデル/SQ8ではフロントに1基、リヤに2基のモータを搭載する。磁石材料の調達リスクを避けるため、Q8 e-tronには永久磁石を使わない誘導モータが採用された。 [19]

モデル 販売時期 駆動方式 最高出力 最大トルク バッテリー総容量 WTLP航続距離
50 quattro 2019/11-2022/10 4WD 230 kW (313 PS) 540 Nm 71 kWh 283-341 km
Q8 50 quattro 2022/11- 250 kW (340 PS) 664 Nm 95 kWh 491-505 km
55 quattro 2019/03-2019/11 300 kW (408 PS) 358-417 km
2019/11-2022/10 358-436 km
Q8 55 quattro 2022/11- 114 kWh 582-600 km
S 2019/11-2022/10 370 kW (503 PS) 973 Nm 95 kWh 364-370 km
SQ8 2022/11- 114 kWh 494-513 km

受賞

2019年、ドイツの自動車雑誌Auto Bildが主催するゴールデン・ステアリング・ホイール賞において、大型SUV部門で1位を獲得した。 [20]

2020年、日本カー・オブ・ザ・イヤーにおいて、e-tronスポーツバックが「2020-2021 テクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。 [21]

リコール

2019年6月、アウディはバッテリー火災の危険性があるとしてアメリカ国内での自主回収を発表した。対象は納車済みの約540台を含めて合計1,644台に及ぶ。ワイヤーハーネスシールの欠陥により水分がバッテリー部に侵入し、最悪の場合は火災が発生する危険がある。 [22]

火災に至った事例は無いが、水分が溜まったことで「バッテリ障害ライト」が点灯した事例は世界的に5例報告された。 [23]

脚注

  1. ^ a b “新型アウディQ8 eトロン登場 車名変更 大幅改良でさらにパワーアップ”. AUTOCAR JAPAN. 2023年8月13日閲覧。
  2. ^ “Audi e-tron quattro concept:妥協のないEV走行の歓び”. Audi Japan Press Center. 2023年8月13日閲覧。
  3. ^ “【オート上海2017】独アウディ、EVコンセプト「e-tron スポーツバック コンセプト」公開。市販モデルは2019年に投入”. Car Watch. 2023年8月13日閲覧。
  4. ^ “アウディの初の市販EV『e-tron』プロトタイプ…ジュネーブモーターショー2018”. Response.. 2023年8月13日閲覧。
  5. ^ “Audi e-tronの生産を開始”. Audi Japan Press Center. 2023年8月13日閲覧。
  6. ^ “アウディ初の市販EV『e-tron』発表…408hp、航続400km以上”. Response.. 2023年8月13日閲覧。
  7. ^ “e-モビリティでさらにサステイナブルな未来へ”. Audi Japan. 2023年8月13日閲覧。
  8. ^ “アウディの電動クーペSUV、『e-tron スポーツバック』…2020年春欧州発売へ”. Response.. 2023年8月13日閲覧。
  9. ^ “Audi e-tron 50 quattroを発売”. Audi Japan Press Center. 2023年8月13日閲覧。
  10. ^ a b c “ロードテスト アウディeトロン”. AUTOCAR JAPAN. 2023年8月13日閲覧。
  11. ^ a b “新型アウディe-tron S/e-tron Sスポーツバック発売”. グーネット. 2023年8月13日閲覧。
  12. ^ “アウディのEV「e-tron」は一体何がスゴいか”. 東洋経済オンライン. 2023年8月13日閲覧。
  13. ^ “【電気モーター2基で407ps】アウディeトロン クワトロ・スポーツバックへ試乗”. AUTOCAR JAPAN. 2023年8月13日閲覧。
  14. ^ “アウディe-tron(4WD)【海外試乗記】”. WebCG. 2023年8月13日閲覧。
  15. ^ “アウディのEV『e-tron』、高性能「S」を設定…今秋欧州発売へ”. Response.. 2023年8月13日閲覧。
  16. ^ “アウディの電動SUVクーペ、e-tronスポーツバック に503馬力の「S」…今秋欧州発売へ”. Response.. 2023年8月13日閲覧。
  17. ^ “アウディeトロン初のSモデル「eトロンS」日本発売 3基のモーターで500馬力超え”. AUTOCAR JAPAN. 2023年8月13日閲覧。
  18. ^ a b c “新型 Audi Q8 e-tron / Q8 Sportback e-tronを発表”. Audi Japan Press Center. 2023年8月13日閲覧。
  19. ^ “アウディ、次期EVに異例の誘導モーター 中国リスク回避”. 日経クロステック. 2023年8月13日閲覧。
  20. ^ “ゴールデンステアリングホイール賞をAudi A1とAudi e-tronが受賞”. Audi Japan Press Center. 2023年8月13日閲覧。
  21. ^ “第41回 2020 – 2021 日本カー・オブ・ザ・イヤー”. 日本カー・オブ・ザ・イヤー. 2023年8月13日閲覧。
  22. ^ “UPDATE: Audi Recalls E-Tron SUV For Water Leakage That Could Result In Fire” (英語). INSIDEEVs. 2023年8月13日閲覧。
  23. ^ “アウディが初の電気自動車をリコール。火災の可能性があるって”. ギズモード・ジャパン. 2023年8月13日閲覧。

外部リンク

  • ドイツ公式サイト(ドイツ語)
  • 日本公式サイト(日本語)
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アウディ車両年表
1960年代 1970年代 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代 2020年代
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スーパーミニ 50 A2 A1 A1
Cセグメント A3 A3 A3 A3
S3 S3 S3 S3
Dセグメント F103 80 80 80 80 A4 A4 A4 A4 A4
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RS2 RS4 RS4
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