アーケード (建築物)

キューバハバナにあるアーケードの一例。日光が差す回廊を歩く児童。

アーケード英語: arcade)は、柱で支えられる連続したアーチヴォールトのことで、またそれを用いた通路や歩道[1]拱廊きょうろうとも。現代では、アーチの構造とは必ずしも関係なく、天井を覆った歩道や商店街をアーケードという[1]

歴史

アーケードは古くから知られていたが、古代ローマ建築において発展を遂げた[1]。 西洋では後に、バシリカ式教会の内部や、修道院クロイスターに用い、壁の表面に装飾としてアーケードを配置したブラインド・アーケードも出現した[1][2]イスラーム建築では、アーチの形の種類が増え、アーケードも広く用いられた。

  • 3層のアーケード イタリア,コロッセオ
    3層のアーケード
    イタリア,コロッセオ
  • バシリカ式教会内のアーケード イタリア,サンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂
    バシリカ式教会内のアーケード
    イタリア,サンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂
  • 修道院のクロイスター スペイン,サント・ドミンゴ・デ・シロス
    修道院のクロイスター
    スペイン,サント・ドミンゴ・デ・シロス
  • ブラインド・アーケードの例 イギリス,ノーリッジ大聖堂
    ブラインド・アーケードの例
    イギリス,ノーリッジ大聖堂
  • 馬蹄形アーチのアーケード チュニジア,ウクバのモスク
    馬蹄形アーチのアーケード
    チュニジア,ウクバのモスク
  • 多弁形アーチのアーケード スペイン,アルハフェリア宮殿
    多弁形アーチのアーケード
    スペイン,アルハフェリア宮殿

ショッピング・アーケード

都市において、通りに面して建つ建造物、古くから街を囲む城壁の内面、柱廊で覆われた橋などは全て、小さな店舗や露店が立ち並ぶ広く一般的な場所となっていた。これらは太陽光や天候から守られ、日よけや雨・雪よけなどの役割を持ち、また多くの人々の徒歩での通行を惹きつけた[要出典]

  • 中世盛期頃からの家々のアーケード フランス,メス
    中世盛期頃からの家々のアーケード
    フランス,メス
  • 露店の集まるロッジア イタリア,Loggia del Mercato Nuovo,1547
    露店の集まるロッジア
    イタリア,Loggia del Mercato Nuovo,1547
  • 建築下部にロッジアがある イタリア,Loggia del Grano, Florence,1619
    建築下部にロッジアがある
    イタリア,Loggia del Grano, Florence,1619
  • 世界最大級の屋根付きバザール イラン,タブリーズのバザール,16世紀~
    世界最大級の屋根付きバザール
    イラン,タブリーズのバザール,16世紀~

そして時代を越え「アーケード」という言葉は、とりわけ通りに沿って並ぶ行商人の間でよく使われるようになった[要出典]

1784年には、フランスのパレ・ロワイヤルにショッピングアーケードが建設され、壮大なショッピング・アーケードとして最も初期の例とされる[3]。 19世紀には、鉄とガラスの屋根で覆ったショッピング・アーケードが登場し、イタリアでは「ガッレリア (galeria)」、フランスでは「パサージュ」として知られる[1][4][5]。ショッピング・アーケードは、後に百貨店ショッピングモールへと発展した[要出典]

  • ショッピング・アーケード イタリア,Covered Market,1774
    ショッピング・アーケード
    イタリア,Covered Market,1774
  • ショッピングアーケード フランス,パレ・ロワイヤル,1784
    ショッピングアーケード
    フランス,パレ・ロワイヤル,1784
  • パサージュ・クーヴェル フランス,パサージュ・デュ・ケール,1798
    パサージュ・クーヴェル
    フランス,パサージュ・デュ・ケール,1798
  • ショッピング・アーケード ベルギー,ギャラリー・サン・チュベール,1847
    ショッピング・アーケード
    ベルギー,ギャラリー・サン・チュベール,1847
  • ショッピング・アーケード トルコ,チチェキ・パサージュ,1876
    ショッピング・アーケード
    トルコ,チチェキ・パサージュ,1876
  • ガレリア イタリア,ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のガッレリア,1878

アミューズメント・アーケードと、アーケードゲーム

このアーケードという言葉は他に、一列に連なって食べ物や様々な種類のゲームと結び付けられたグッズなどを売る各地の遊園地謝肉祭でも取り入れられ、それぞれ「アミューズメント・アーケード」や「ミッドウェイ」として使用されている[要出典]。 その後1905-1910年頃に、硬貨(ペニー)を入れて遊ぶ遊具などが並び「ペニー・アーケード」と称され[6]、遊園地に常設されるようになった[要出典]

  • ミッドウェイの例
    ミッドウェイの例
  • ペニーアーケード 1910年のニューオーリンズ
    ペニーアーケード
    1910年のニューオーリンズ

またペニー・アーケードで設置されていたゲームは「アーケードゲーム」として定着するようになり、1970年代に起こった電子ゲームの爆発的人気以来、アーケードゲーム専門の施設が作られた[7]。 こうした施設は英語では「ビデオアーケード」「アーケード[8][9]、日本語では「ゲームセンター(和製英語)」と呼ぶ。 また、家庭用ゲームと対比する言葉として「アーケード」が使われることがある。

  • アーケードゲーム 1972年のポン
    アーケードゲーム
    1972年のポン
  • ビデオアーケード(ゲームセンター) 東京都ミカド
    ビデオアーケード(ゲームセンター)
    東京都ミカド

著名なショッピング・アーケード

クリーブランドのダウンタウンにあるクリーブランド・アーケード。写真は1960年代後期のもの。
日本のアーケードについては日本のアーケード商店街を参照

関連項目

アーケードに類似した建築構造

ショッピング・アーケードについて

アミューズメント・アーケードについて

出典

  1. ^ a b c d e “アーケードとは - コトバンク”. 2021年3月17日閲覧。
  2. ^ “Blind window”. finedictionary.com. 2021年3月17日閲覧。
  3. ^ Mitchell, I., Tradition and Innovation in English Retailing, 1700 to 1850, Routledge, Oxon, p. 140
  4. ^ “ガレリアとは - コトバンク”. 2021年3月17日閲覧。
  5. ^ “パサージュとは - コトバンク”. 2021年3月17日閲覧。
  6. ^ Going out: the rise and fall of public amusements. pp. 154. https://books.google.com/books?id=P0eySLn7b6EC&pg=PA154. "First use of the term [...] between 1905 and 1910" 
  7. ^ “arcade game”. 2021年3月17日閲覧。
  8. ^ “video arcade”. 2021年3月17日閲覧。
  9. ^ “arcade”. 2021年3月17日閲覧。

外部リンク

ウィキメディア・コモンズには、アーケード (建築物)に関連するカテゴリがあります。
  • 竹瓦小路アーケード - 日本のアーケードの歴史
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