コープの法則

コープの法則(コープのほうそく,英:Cope's law)とは、同じ系統の進化の過程において、大きなサイズの種がより新しい時代に出現する傾向があるという法則定向進化説の一つで、古生物学者エドワード・ドリンカー・コープによって提唱された。名前の由来も彼による。[1]

概要

ゾウウマなど、この法則が当てはまる例はいくつかある。また、無脊椎動物では、アンモナイトサンゴヒトデウニなどにもコープの法則は成り立つ。

恐竜の進化はコープの法則の一例であると考えられていたが、後の統計的研究[2]によって、恐竜の大腿骨化石の大きさについて解析したところ、恐竜にはコープの法則が必ずしもあてはまるわけではないことが判明した。恐竜は種類によってはコープの法則にしたがって体が大きく進化するが、そうではない種もあることが分かった。また大きさの限界では、ブラキオサウルスのような四足歩行の恐竜では限界は見つからなかったが、ティラノサウルスのような二足歩行の動物では明確な限界点が見いだされた。これらの結果から、現代の進化学においてはコープの法則は限定的に当てはまると考えられている。

脚注

  1. ^ Stanley, S. M. (March 1973). “An Explanation for Cope's Rule”. Evolution 27 (1): 1–26. doi:10.2307/2407115. JSTOR 2407115. 
  2. ^ Richard Fitz John博士(ブリティッシュコロンビア大学),Matthew Carrano博士(国立自然史博物館)らの研究

参考文献

  • 遠藤謙一編「知っておきたい法則の事典」東京堂出版 2007年7月30日初版 ISBN 9784490107173

関連項目

生物分布の法則

アレンの法則 寒い地域に住む個体群ほど突出部が小さくなる
ベルクマンの法則 寒い地域に住む個体群ほど体が大きくなる
コープの法則 体の大きさは時代の経過により大きくなる
深海巨大症 深海生物の体が大きくなる
ドロの法則 複雑な特性の喪失は不可逆である
アイヒラーの法則 寄生虫は宿主と共に変化する
エメリーの法則(英語版) 昆虫の社会寄生中はしばしばその宿主と同じ属である
ファーレンホルツの法則(英語版) 宿主と寄生虫の系統発生は一致する
フォスターの法則 島嶼部においては、大型動物は小さくなり、小型動物は大きくなる
ガウゼの法則 完全な競争者は共存できない
グロージャーの法則 寒い地域に住む個体群ほど体色が薄くなる
ホールデンの法則(英語版) Hybrid sexes that are absent, rare, or sterile, are heterogamic
ハリソンの法則(英語版) 寄生虫の大きさは宿主とともに変化する
ハミルトン則 相手の血縁度と相手が得る利益の積が行為者への生殖コストを上回ると遺伝子の頻度が増加する
ヘニッヒの発達則 分類学において、もっとも原始的な種は集団の領域の最も早い、中心部にある
ジャーマン・ベル原理(英語版) 動物の大きさとその食事の質の相関関係。大きな動物は質の低い食事ができる
ジョーダンの法則 水温と鰭条や椎骨の数との逆相関
ラックの原理 鳥は食べ物を提供できるだけの卵を産む
ラポポートの法則 低緯度地域ほど狭い地域に多くの生物種が生息する
レンチェの法則(英語版) 体の大きさの性的二形はオスが大きくなると大きくなり、メスが大きくなると小さくなる
ローザの法則(英語版) 集団は原始種の中の変化特性から高度な種の中の固定特性へ進化する
シュマルハウゼンの法則(英語版) 1つの側面で許容範囲にある個体群は、他の側面での小さな違いに対して脆弱である
ソーソンの法則(英語版) 底生海洋無脊椎動物の卵の数は緯度と共に減少する
ヴァン・ヴェーレンの法則 集団の絶滅の確率は、時間に関係なく一定である
フォン・ベーアの法則(英語版) 胚は一般的な形から始まり、だんだんと特殊な形になっていく
ウィリストンの法則(英語版) 生物の一部は数が減り、機能に特化する