ゴルギュティオーン
ゴルギュティオーン(古希: Γοργυθίων, Gorgythiōn)は、ギリシア神話の人物である。長母音を省略してゴルギュティオンとも表記される。トローイア王プリアモスと妃の1人との間に生まれた子[1]。母はトラーキア地方のアイシュメーの美女カスティアネイラである。2人の間に生まれたゴルギュティオーンは美男子だったとされる[2]。トロイア戦争ではトローイア軍の武将の1人として戦った。
『イーリアス』2日目、ギリシア軍の武将テウクロスは大アイアースとのコンビで多くのトローイアの将を討ち取り[3]、さらにヘクトールを討たんとして矢を放ったが、ヘクトールではなくゴルギュティオーンに当たって射倒した。兜の重みでゴルギュティオーンの頭ががくりと傾く様は、まるで実をつけて重くなったケシの花が、雨に濡れてさらに重くなって実を垂らすかのようであったという[2]。
一説によるとゴルギュティオーンはパトロクロスに討たれた[4]。
脚注
参考文献
- アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫(1953年)
- 『ディクテュスとダーレスのトロイア戦争物語 トロイア叢書1』岡三郎訳、国文社(2001年)
- ホメロス『イリアス(下)』松平千秋訳、岩波文庫(1992年)