ピットファイター

曖昧さ回避 この項目では、コンピュータゲームについて説明しています。競走馬については「ピットファイター (競走馬)」をご覧ください。
ピットファイター
ジャンル 2D対戦型格闘ゲーム
対応機種 アーケード
開発元 アタリゲームズ
発売元 アメリカ合衆国 アタリ
日本 コナミ
プロデューサー ジェリー・モモダ
ディレクター ゲイリー・スターク
マーク・ステファン・ピース
デザイナー ゲイリー・スターク
マーク・ステファン・ピース
プログラマー ゲイリー・スターク
ポール・クィン
音楽 ジョン・ポール
美術 ニコラス・スターン
人数 1 - 2人(対戦プレイ)
メディア 業務用基板
(2.94メガバイト
稼働時期 アメリカ合衆国 1990081990年8月
デバイス 8方向レバー
3ボタン
システム基板 Atari G1
CPU MC68000 (@ 14.318 MHz)
MOS 6502 (@ 1.790 MHz)
サウンド YM2151 (@ 3.579 MHz)
OKI6295 (@ 1.193 MHz)
ディスプレイ ラスタースキャン
横モニター
336×240ピクセル
59.92Hz
パレット1280色
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ピットファイター』 (Pit Fighter) は、アタリから発売されたアメリカゲームソフト[1]

1990年業務用対戦型格闘ゲームとして稼働された。日本ではコナミから稼働され、1992年テンゲンによってメガドライブに移植された[1]

また、2006年9月21日発売のPlayStation 2用ソフト『ゲーセンUSA ミッドウェイアーケードトレジャーズ』に収録された。

概要

プレイヤーはプロレスラーの「バズ」、キックボクサーの「タイ」、空手家の「カトー」を操り、ある時は協力してCPU側のプレイヤーと、ある時は互いに戦いながら、ラストボスの「マスクド・ウォリアー」への挑戦権を目指す[1]

ステージを自由に移動することが可能なので、アクションゲームの要素がある。ステージを攻略するにつれてナイフ・イス・箱・樽・手裏剣などの凶器が配置され、それを拾って攻撃することが可能になる。敵と味方の両方が取れるパワードラッグが存在しており、それを取ると無敵になり一撃で相手を倒すことができるようになる。メガドライブ版は2人プレイができるが、最終的にその2人で争わなければならなくなる。敵に攻撃を加えると汗が出たり、樽をぶつけると液体が噴き出たりと、細かい演出にも定評がある[1]

キャラクターはデジタイズ実写取り込み)技術を導入。格闘ゲームのキャラクターに対してデジタイズが導入されたのは、ホームデータの『霊界導士』(1988年)に続く2例目であるが、『霊界導士』は人形をデジタイズしており、キャラクターの動作がぎこちないという指摘が上がったのに対して、『ピットファイター』は格闘ゲーム史上初めて実写の人間をキャラクターとしており、ムキムキの役者にブルースクリーンの前で演技させたモーションのクオリティも高く、日本国外で大ヒットした。『ピットファイター』より以前、ゲームのキャラクターは全てドット絵で、実在の役者のモーションを使う場合もロトスコープで全てドット絵に描き直していたが、『ピットファイター』のヒット後は実写取り込みで実際の役者のグラフィックをそのまま使う例が増えたため、この作品はゲームに実在の役者が「出演」する流れを作った画期的な作品とされている。なお、役者はアタリの近くのジムでスカウトしてきたが、当時は「ゲームに出演する」と言う概念が理解されず、役者を探すのに非常に苦労したという。

1990年代後半のポリゴン時代に入る前、1990年代前半の日本国外ではドット絵に代わって『モータルコンバット』(1992年)など実写取り込みが一大旋風を巻き起こしたが、日本では『ストリートファイターII』(1991年)や『龍虎の拳』(1992年)などドット絵アニメーションをさらに描き込む方向に進んだため、日本では実写取り込みは流行らなかった。しかし、『ストリートファイターII』開発当時のカプコン本社は、日本では未発売だった『ピットファイター』日本国外版の新品アップライト筐体を購入している。

業務用はアップライト筐体に3個のコントローラーが据えられ、3人同時プレイが可能になっていた。メガドライブ版は2人プレイのみとなっている。SNES版はカトーが削除され、ゲームも内容もより大味になっている。

日本国外では、ジェネシス(メガドライブ)のほか、MS-DOSコモドール64AmigaSNES (スーパーファミコン)ゲームボーイマスターシステムLynxに移植されている。

キャラクター

プレイヤー

バズ
演 - ビル・チェイス
タイ
演 - マーク・ウィリアムス
カトー
演 - グレン・フラッティセリ

敵キャラクター

ザ・エクスキュージョナー
演 - ジョン・アギーレ
「処刑人」を意味する名を持つ覆面を被った大男[1]
サウスサイド・ジム
演 - ジェームス・トンプソン
チェーンマン
演 - エディー・ベナンシオ
上半身にチェーンを巻き付けた大男。
マッド・マイルス
演 - マイルス・マクゴワン
ヘビー・メタル
演 - キム・ローデス
C.C.ライダー
演 - リッチ・バーガス
頭部にバンダナを巻いた男。
エンジェル
演 - アンジェリア・ステラト
敵キャラクターの紅一点。ボンデージルックの女[1]
マスクド・ウォリアー
演 - ビル・マクアリーナン
最終ボス。仮面をつけた大男。このキャラクターとは必ず1対1の対決となる。

サブキャラクター

ナイフウーマン
演 - ディアニー・ベルトゥッチ
お邪魔キャラクター。観客に交じってナイフで切り付けてくる女。
ナイフマン
演 - ミルト・ローパー
お邪魔キャラクター。観客に交じってナイフで切り付けてくる男。
フィナーレ・ウーマン
演 - ティナ・シレーター、マリア・レニツキー
マスクド・ウォリアーを倒したプレイヤーに寄り添ってくる2人組の女。

他機種版

No. タイトル 発売日 対応機種 開発元 発売元 メディア 型式 売上本数 備考
1 Pit-Fighter ヨーロッパ 1991年
Amiga
Amstrad CPC
Atari ST
コモドール64
PC/AT互換機
ZX Spectrum
Teque Software Domark Software フロッピーディスク
カセットテープ
- -
2 ピットファイター アメリカ合衆国 1991111991年11月
日本 199203271992年3月27日
ヨーロッパ 1992年
メガドライブ テンゲン テンゲン 8メガビットロムカセット[2] アメリカ合衆国 301027-0150
日本 T-48033
ヨーロッパ 301027-0170
-
3 Pit-Fighter ヨーロッパ 1991年
セガ・マスターシステム アタリ
The Kremlin
Domark Software ロムカセット
  • EU MK 29009-50
-
4 Pit-Fighter アメリカ合衆国 1992031992年3月
ヨーロッパ 1992年
SNES テンゲン THQ ロムカセット アメリカ合衆国 SNS-PF-USA
ヨーロッパ SNSP-PF-EUR
-
5 Pit-Fighter アメリカ合衆国 1992061992年6月
ヨーロッパ 1992年
ゲームボーイ テンゲン THQ ロムカセット アメリカ合衆国 DMG-QF-USA
ヨーロッパ DMG-QF-UKV
-
6 Pit-Fighter アメリカ合衆国 1992年
Atari Lynx アタリ テンゲン ロムカセット PA2070 -
7 MIDWAY ARCADE TREASURES 2 アメリカ合衆国 200410112004年10月11日
ヨーロッパ 200410292004年10月29日
日本 200609212006年9月21日
PlayStation 2
Xbox
Digital Eclipse アメリカ合衆国 ミッドウェイゲームス
ヨーロッパ ZOO Digital Publishing
日本 サクセス
DVD-ROM
GC:8センチ光ディスク
PS2:
  • 日本 SLPM-66467
  • アメリカ合衆国 SLUS-20997
  • ヨーロッパ SLES-52844
GC:DOL-GAYE-USA
- アーケード版の移植
8 Midway Arcade Treasures Deluxe Edition アメリカ合衆国 200602172006年2月17日
ヨーロッパ 200603172006年3月17日
Windows ミッドウェイゲームズ アメリカ合衆国 ミッドウェイゲームズ
ヨーロッパ Zoo Digital Publishing
CD-ROM - - アーケード版の移植
9 MIDWAY ARCADE ORIGINS アメリカ合衆国 201211062012年11月6日
ヨーロッパ 201211152012年11月15日
PAL 201211062012年11月6日
PlayStation 3
Xbox 360
Backbone Entertainment
ミッドウェイゲームズ
WBIE PS3:Blu-ray Disc
XB360:DVD-ROM
PS3:アメリカ合衆国 BLUS-31083
ヨーロッパ BLES-01768
- アーケード版の移植
10 MIDWAY ARCADE ORIGINS アメリカ合衆国 201308132013年8月13日
ヨーロッパ 201308132013年8月13日
Xbox 360 Backbone Entertainment
ミッドウェイゲームズ
WBIE ダウンロード(ゲームオンデマンド) - - アーケード版の移植

スタッフ

  • プロジェクト・リーダー:ゲイリー・スターク、マーク・ステファン・ピース
  • プロジェクト・デザイナー:ゲイリー・スターク、マーク・ステファン・ピース
  • プログラマー:ゲイリー・スターク、ポール・クィン
  • デジタル・イメージング:ロブ・ロウェ
  • エンジニア:サム・リー、ダグ・スナイダー
  • リード・アニメーター:ニコラス・スターン
  • アニメーター:チャック・エイラー、マーク・ウエスト、シャロン・プロトキン
  • オーディオ:ジョン・ポール
  • テクニシャン:グレン・マクナマラ
  • プロジェクト・スーパーバイザー:ジョン・レイ
  • プロジェクト・マネージャー:ジェリー・モモダ
  • サポート・プログラマー:デニス・ハーパー、デヴィッド・トイラー、マイク・アルバフ
  • アディショナル・サンクス:ジェームス・ペトリック、クリス・ドロブニー、デイヴ・クック、リッチ・モーア、ブライアン・デツ、スーザン・G・マクブライド、マット・アラリオ、カレン・スターク、ベケット・グラドニー、レベッカ・ロウェ、LDCP

評価

評価
レビュー結果
媒体結果
Computer and Video Games80% (Amiga)[3]
82% (MD)[4]
エレクトロニック・ゲーミング・マンスリー25/40点 (LX)[5]
ファミ通26/40点 (MD)[6]
GamePro5/5点 (MD)[4]
2/5点 (SFC)[7]
Sinclair User84% (ZX)[8]
Amiga Action71% (Amiga)[3]
Amiga Power64% (Amiga)[3]
Amiga Format60% (Amiga)[3]
Aktueller Software Markt7/12点 (Amiga)[3]
5/12点 (ST)[9]
3/12点 (C64)[10]
5/12点 (MD)[4]
7/12点 (SFC)[7]
Atari ST User40% (ST)[9]
Commodore Format61% (C64)[10]
Zzap!6456% (C64)[10]
Commodore Force35% (C64)[10]
MegaTech80% (MD)[11]
メガドライブFAN20.10/30点 (MD)[2]
Mean Machines81% (MD)[4]
Sega Power47% (SMS)[12]
メガドライブ版
  • ゲーム誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」では、7・7・7・5の合計26点(満40点)になっており[13][6]、レビュアーの意見としては、「業務用ほどの迫力はない」、「トータルのデキはいいんだけど、やっぱりムリが」などと評されている[13]
  • ゲーム誌『メガドライブFAN』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通りとなっており、20.10点(満30点)となっている[2]
項目 キャラクタ 音楽 操作性 熱中度 お買得度 オリジナリティ 総合
得点 3.74 3.08 3.04 3.42 3.18 3.64 20.10
バカゲーとしての評価

本作は業務用ゲームにおける対戦型格闘ゲームの先駆の一つであると共に、バカゲーとしても名を刻んでいる。その理由は、ゲーム中に表示される日本語の説明文にある。

例えば、1面のタイトル"Show No Mercy"を『なさけ むよう』、ボーナス"Brutality Bonus"の名前が『残虐行為手当』と、余りにも直訳な日本語がごく一部の間で大受けし、流行語にまでなった。メガドライブ版では、テンゲン日本法人の手によるマニュアルがさらにバカゲーぶりを煽っていた[1]

本作のローカライズはアタリゲームズの手で行われた。なお、メガドライブ版マニュアルには、"Power Pill"を日本語版で『パワードラッグ』とした事に「我ながら名訳だな」等、説明文をアーケード版の訳者自身が書いたと匂わせる記載もある。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d e f g 株式会社QBQ編 『懐かしのメガドライブ 蘇れメガドライバー !!』マイウェイ出版発行、2018年。ISBN 9784865118704 p52-53
  2. ^ a b c 「7月号特別付録 メガドライブ&ゲームギア オールカタログ'93」『メガドライブFAN』第5巻第7号、徳間書店、1993年7月15日、26頁。 
  3. ^ a b c d e “Pit-Fighter for Amiga (1991) - Moby Games” (英語). Blue Flame Labs. 2017年12月9日閲覧。
  4. ^ a b c d “Pit-Fighter for Genesis (1991) - Moby Games” (英語). Blue Flame Labs. 2017年12月9日閲覧。
  5. ^ “Pit-Fighter for Lynx (1992) - Moby Games” (英語). Blue Flame Labs. 2017年12月9日閲覧。
  6. ^ a b “ピットファイター まとめ [メガドライブ]/ ファミ通.com” (日本語). KADOKAWA CORPORATION. 2016年2月27日閲覧。
  7. ^ a b “Pit-Fighter for SNES (1991) - Moby Games” (英語). Blue Flame Labs. 2017年12月9日閲覧。
  8. ^ “Pit-Fighter for ZX Spectrum (1991) - Moby Games” (英語). Blue Flame Labs. 2017年12月9日閲覧。
  9. ^ a b “Pit-Fighter for Atari ST (1991) - Moby Games” (英語). Blue Flame Labs. 2017年12月9日閲覧。
  10. ^ a b c d “Pit-Fighter for Commodore 64 (1991) - Moby Games” (英語). Blue Flame Labs. 2017年12月9日閲覧。
  11. ^ MegaTech rating, EMAP, issue 5, page 78, May 1992
  12. ^ “Pit-Fighter for SEGA Master System (1991) - Moby Games” (英語). Blue Flame Labs. 2017年12月9日閲覧。
  13. ^ a b ファミコン通信』、アスキー、1992年4月3日。 

外部リンク

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