三酸化テルル

三酸化テルル
別称
酸化テルル(VI)
識別情報
CAS登録番号 13451-18-8
PubChem 83481
ChemSpider 75319 チェック
  • O=[Te](=O)=O
  • InChI=1S/O3Te/c1-4(2)3 チェック
    Key: IIXQANVWKBCLEB-UHFFFAOYSA-N チェック
  • InChI=1/O3Te/c1-4(2)3
    Key: IIXQANVWKBCLEB-UHFFFAOYAH
特性
化学式 TeO3
モル質量 175.6 g/mol
外観 黄橙色結晶 (α-TeO3)
密度 5.07 g/cm3、固体
融点

430 °C, 703 K, 806 °F

危険性
EU分類 記載なし
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

三酸化テルル(さんさんか—、tellurium trioxide)は、テルル酸化物の一種で、組成式 TeO3 で表される無機化合物である。

合成

三酸化テルルは通常、テルル酸 (telluric acid, Te(OH)6) を 300 ℃近辺に加熱し、脱水することで得られる。濃硫酸中で加熱を行うこともある。原料となるテルル酸は市販品が入手可能であるが、二酸化テルル塩素酸過マンガン酸カリウム、あるいは酸化クロム(III) などの酸化剤の水溶液を作用させても得られる。

物性

三酸化テルルは常温、常圧で固体であるが、調製法の違いによりさまざまな多形 (polymorphism) をとる。比較的以前より知られているのは、α体(黄色)、β体(あるいはB体、灰色、斜方晶)である[1]。ほかにもγ体(あるいはA体)や、六方晶、アモルファス状の形態の存在も報告されている[2]。 水には基本的に不溶であるが、大量の沸騰水中では、6日間で部分的に溶けたとの報告がある。アルカリ水溶液には急速に溶けてテルル酸塩となる。[3]三酸化テルルの固体を加熱すると熱分解を起こす。β体に関する昇温実験の報告によれば、475 ℃から 615 ℃までの間に

2 TeO 3 Te 2 O 5   + 1 2 O 2 {\displaystyle {\ce {2TeO3->Te2O5\ +{\tfrac {1}{2}}O2}}}
Te 2 O 5 2 TeO 2   + 1 2 O 2 {\displaystyle {\ce {Te2O5->2TeO2\ +{\tfrac {1}{2}}O2}}}
TeO 3 TeO 2   + 1 2 O 2 {\displaystyle {\ce {TeO3->TeO2\ +{\tfrac {1}{2}}O2}}}

と表される3通りの反応が起こり、二酸化テルルと酸素に変わる。

反応性

三酸化テルルには酸化剤としての性質が知られる。濃塩酸中で加熱すると塩素ガスが生じる。また、硫黄、リン、炭素などの単体やさまざまな金属を、それらの酸化物に変える。ヒドラジンなどとの還元剤を反応させると、単体テルルまで還元される。

関連項目

参考文献

  1. ^ 総説:Dutton, W. A.; Cooper, W. C. Chem. Rev. 1966, 657.
  2. ^ Ahmed, M. A. K.; Fjellvag, H.; Kjekshus, A. J. Chem. Soc. Dalton Trans. 2000, 4542.
  3. ^ pp.529,F.A.Cotton, G.Wilkinson,『無機化学』, 4th Ed., 培風館(1987). ISBN 4-563-04192-0
  • H2Te
  • H6TeO6
  • TeBr2
  • TeBr4
  • TeCl2
  • TeCl4
  • TeF4
  • TeF6
  • Te2F10
  • TeI2
  • TeI4
  • TeO
  • TeO2
  • TeO3
  • Te2O5
  • TeS2
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