小花地大橋

小花地大橋
地図
基本情報
日本の旗 日本
所在地 新潟県東蒲原郡阿賀町谷沢 - 黒岩
交差物件 阿賀野川(揚川ダム湖)・阿賀町道小花地線
用途 道路橋
路線名 国道49号標識国道49号揚川改良
管理者 国土交通省北陸地方整備局新潟国道事務所
設計者 鹿島建設
施工者 鹿島建設大本組JV
着工 2009年(平成21年)3月5日
竣工 2013年(平成25年)3月29日
開通 2013年(平成25年)3月30日
座標 北緯37度41分50.3秒 東経139度23分19.8秒 / 北緯37.697306度 東経139.388833度 / 37.697306; 139.388833 (小花地大橋)
構造諸元
形式 3径間連続ラーメン箱桁橋
材料 プレストレスト・コンクリート
全長 343.200 m
13.000 m
最大支間長 127.000 m
関連項目
橋の一覧 - 各国の橋 - 橋の形式
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国道49号標識
国道49号標識

小花地大橋(こばなちおおはし)は、新潟県東蒲原郡阿賀町谷沢 - 黒岩の阿賀野川に架かる国道49号揚川改良(重用・国道459号)の橋長343.2 m(メートル)のラーメン橋

概要

揚川改良の阿賀野川に架かる橋梁である。450 m下流に揚川ダムが存在しそのダム湖に架かる。建設時の仮称は揚川橋[注釈 1]であった[1]

揚川橋の設計にあたり、河川内橋脚は河積阻害率を5.0 %以内とすること、橋脚設置可能位置が限定されており3径間の場合、中央径間長に対する側径間長の比が大きくなること、阿賀町は特別豪雪地帯であり、冬季の降積雪や雪害、凍結防止剤に対する配慮が必要となること、阿賀野川水面は阿賀野川ライン県立自然公園に指定されており景観性への配慮が必要となることなどの条件があった[2]

そのため、構造形式については橋梁が維持管理を低減可能で実績の多いコンクリート橋とし、PC橋のうち、単径間吊橋、2径間斜張橋、3径間連続ラーメン箱桁橋の3案から比較した。豊富な施工実績、基本条件書に定められる橋脚設置可能位置を満足できること、施工コストが最も安価となることを理由にPC3径間連続ラーメン箱桁橋が採用された。主要部材にコンクリートのみを用い、橋梁全体を剛結することにより支承および伸縮装置のが桁端のみとなり、維持管理の軽減が可能になる。さらに、吊橋やエクストラドーズド橋と異なり、上空に主塔や斜材が存在しないため維持管理が軽微で、落雪・落氷が発生しないため冬期でも円滑な交通を確保しやすいという利点がある[3][4]

本橋では斜めウェブを採用し、上部工の軽量化、下部工断面の縮小化を狙った。また斜めウェブによる陰影効果により景観性の向上も図られることになった[5][6]

  • 形式 - PC3径間連続ラーメン箱桁橋
  • 橋長 - 343.200 m
    • 支間割 - 111.000 m + 127.000 m + 103.000 m
  • 幅員
    • 総幅員 - 13.000 m
    • 有効幅員 - 13.000 m
    • 車道 - 7.00 m
    • 歩道 - 片側2.50 m
  • 線形 - 直線
  • 勾配 - 0.75 %(縦断)・2.0 %(横断)
  • 桁高 - 4.000 m - 9.4000 m
  • 下部工 - 逆T式橋台・小判型RC中空橋脚
  • 基礎 - 場所打ち杭基礎(A1橋台)・深礎杭基礎(A2橋台)・鋼殻吊卸ろし式ニューマチックケーソン(橋脚)
  • 施工 - 鹿島建設大本組JV
  • 架設工法 - 張出し架設工法

[3][7]

歴史

国道49号旧道(麒麟橋 - 揚川トンネル)は揚川ダム建設に伴う付替道路として新潟県により建設された[8]。しかしながらこの区間は麒麟橋や本尊岩トンネル・揚川トンネルが幅員狭小で大型車のすれ違いが困難であり、線形不良も抱えていた。また、大牧から黒岩にかけての約3.5 kmの区間は土砂災害が再三発生しており、連続雨量150 mmを超過した際には通行止となる事前通行規制区間に指定されていた。これらの課題を解消するため揚川改良が1978年度(昭和53年度)に事業化され、抜本的対策として別線バイパスによる改良が2000年度(平成12年度)に着工された[9][10][11][12][13]

本橋は上下部一体の設計・建設の橋梁工事として鹿島建設と大本組による異工種建設工事共同企業体によって設計・施工されることとなり、2009年(平成21年)3月5日から2013年(平成25年)3月29日までの工期で行われた[14]。本橋は主径間長に対する側径間長比が大きく、側径間架設にあたっては一部において片側のみの張出しとなるアンバランス施工が行われた[15]

本橋は薄い斜めウェブを採用したため、ウェブのコンクリート打設に課題があった。そのため、部分的に流動性を高めた中流動コンクリートを採用した[16][17]

2011年(平成23年)に正式名称が小花地大橋に決定した[18]

下部工はP1橋脚が2010年(平成22年)11月、P2橋脚が2011年(平成23年)1月に完成し、橋脚柱頭部はP1橋脚が2011年(平成23年)3月、P2橋脚が2011年(平成23年)5月に完成し、それぞれ翌月から通年施行が可能となる張出し架設工法により主桁を架設した[19][20]

参考文献

  • 曽我部, 直樹、佐藤, 忠宏、黒川, 篤、矢野, 一正「工事報告 国道49号揚川改良 揚川橋新設工事の設計・施工 : 上下部一体のデザイン&ビルド型橋梁工事」(PDF)『プレストレストコンクリート』第56巻第1号、プレストレストコンクリート工学会、2014年1月、9–16 url=http://www.jpci.or.jp/JC/v56/560103.pdf、ISSN 0387-1983、NAID 40019969371。 
  • 木暮, 雄一、齋藤, 公生、遠藤, 史「小花地大橋の景観デザイン」『プレストレストコンクリートの発展に関するシンポジウム論文集』第23巻、プレストレストコンクリート工学会、2014年10月15日、689–692。 
  • 曽我部, 直樹、佐藤, 忠宏、黒川, 篤、蓮野, 武志「国道 49 号揚川改良揚川橋新設工事の上部工における中流動コンクリートの適用」『コンクリート工学』第52巻第3号、日本コンクリート工学会、2014年3月、251–256、doi:10.3151/coj.52.251、ISSN 0387-1061、NAID 130004722324、2021年4月3日閲覧 
  • 建設省北陸地方建設局新潟国道工事事務所 編『新潟国道二十年史』1980年12月12日。 
  • 北陸地方建設局新潟国道工事事務所 編『新潟国道三十年史』1990年8月22日。 

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 磐越自動車道の揚川橋とは別

出典

  1. ^ 曽我部 et al. 2014, p. 7.
  2. ^ 曽我部 et al. 2014, p. 10.
  3. ^ a b 曽我部 et al. 2014, pp. 10–11.
  4. ^ 木暮, 齋藤 & 遠藤 2014, p. 690.
  5. ^ 曽我部 et al. 2014, pp. 11–12.
  6. ^ 木暮, 齋藤 & 遠藤 2014, p. 691.
  7. ^ 曽我部 et al. 2014, pp. 251–252.
  8. ^ 『新潟国道二十年史』193頁。
  9. ^ “一般国道49号 揚川改良” (PDF). 道路整備効果事例集. 国土交通省. 2021年4月3日閲覧。
  10. ^ “国道49号 揚川改良” (PDF). 阿賀町. 国土交通省北陸地方整備局新潟国道事務所. 2021年4月3日閲覧。
  11. ^ 揚川改良だより 創刊号 2010年4月 - 国土交通省北陸地方整備局 新潟国道事務所 - WARPによるアーカイブ
  12. ^ 国道49号揚川改良 平成25年3月30日(土)開通します。 - 国土交通省 北陸地方整備局 新潟国道事務所 2013年3月4日 - WARPによるアーカイブ
  13. ^ 曽我部 et al. 2014, p. 2.
  14. ^ 曽我部 et al. 2014, pp. 9–10.
  15. ^ 曽我部 et al. 2014, p. 15.
  16. ^ 曽我部 et al. 2014, pp. 12–15.
  17. ^ 曽我部 et al. 2014.
  18. ^ 揚川改良だより 第5号 2011年6月 - 国土交通省北陸地方整備局 新潟国道事務所 - WARPによるアーカイブ
  19. ^ 「新潟地区現場見学会」(PDF)『あかしや通信』第34巻、日本建設機械施工協会北陸支部、2013年3月、11頁、2021年4月3日閲覧 
  20. ^ 揚川改良だより 第8号 2012年10月 - 国土交通省北陸地方整備局 新潟国道事務所 - WARPによるアーカイブ

外部リンク

  • 国土交通省北陸地方整備局新潟国道事務所 - 橋梁管理者
  • 空から見た阿賀野川 - 国土交通省北陸地方整備局阿賀野川河川事務所
    • 阿賀野川中流域 27.揚川ダム
    • 阿賀野川中流域 73.揚川ダム
 
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