気質物

気質物(かたぎもの)は江戸時代の浮世草子の一種である[1]

歴史

元々、浮世草子には当世女気質を描いた好色五人女(後に当世女容気と改題して再販)、若衆気質を描いた男色大鑑、武道気質を描いた武道伝来記 などが存在していた[2]が、その後、八文字屋が〇〇気質と名付けた滑稽風刺シリーズを刊行した。

気質物の浮世草子一覧

江島其磧
  • 寛濶役者片気 (1711年頃)[1]
  • 世間子息気質 (1715年)[1]
  • 世間娘容気 (1717年)[1]
  • 浮世親仁形気 (1720年)[1]
  • 世間手代気質[1] (1730年)
  • 諸商人世帯気質 (1736年)[3]
  • 賢女心化粧 (1745年)[3]

その他、和漢遊女容気もあったものの、これは一代男の後日譚であった[4]

多田義俊
  • 鎌倉諸芸袖日記 (1743年)[1] - 多田南嶺名義
  • 世間母親容気 (1752年)[1][5] - 南圭梅嶺名義
上田秋成
不明
  • 世間長者気質 (1754年)[3] - 其笑・瑞笑の連名名義で自笑の遺作を補ったものとされる[3]
  • 略縁記出家気質 (1769年)[3] - 四代目自笑名義
永井堂亀友(兵作堂)
  • 風俗俳人気質 (1763年)[6]
  • 当世銀持気質 (1770年)[6]
  • 風流茶人気質 (1770年)[6]
  • 世間姑気質 (1772年)[6]
  • 赤烏帽子都気質 (1772年)[6]
  • 小児養育気質 (1773年)[6]
  • 世間旦那気質 (1773年)[6]
  • 笑談医者気質 (1774年)[7]
  • 世間仲人気質 (1774年)[7]
増谷大梁
  • 世間化物気質 (1770年)[7]
  • 世間傾城気質 (1771年)[7]
大雅舎其鳳
  • 当世宗匠気質 (1773年)[8]
  • 滅多無性金儲気質 (1775年)[8]

明治・大正

明治時代よりは小説神髄の影響を受けた当世書生気質の登場[9]によって「当世〇〇気質」という書が複数登場した。

  • 当世書生気質坪内逍遥)[1]
  • 当世商人気質(饗庭篁村)[2]
  • 当世権妻気質(苔の屋一心)[3]
  • 当世会社気質(奥村柾兮)[4]
  • 当世職人気質(暁花園霞柳)[5]
  • 当世ハイカラ気質(花の本詩庵)[6]
  • 当世女生気質 松の巻(稲岡奴之助)[7]
  • 当世奥様気質(福田琴月)[8]
  • 当世細君気質(原題: That Wife of Mine、佐々木邦訳)[9]
  • 当世良人気質(原題: That Husband of Mine、佐々木邦訳)[10]
  • 当世気質新奥様(黒田湖山)[11]
  • 当世大学生気質(東京帝国大学新聞社 編)[12]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j 気質物 コトバンク
  2. ^ 藤岡作太郎 1917, p. 273.
  3. ^ a b c d e 藤岡作太郎 1917, p. 275.
  4. ^ 藤岡作太郎 1917, p. 274.
  5. ^ 藤岡作太郎 1917, p. 292.
  6. ^ a b c d e f g 藤岡作太郎 1917, p. 301.
  7. ^ a b c d 藤岡作太郎 1917, p. 302.
  8. ^ a b 藤岡作太郎 1917, p. 304.
  9. ^ 当世書生気質 コトバンク

参考文献

  • 藤岡作太郎『近代小説史 (東圃遺稿 ; 巻第4)』大倉書店、1917年。https://dl.ndl.go.jp/pid/1882471/ 

関連項目

  • 町人物

外部リンク

  • 其磧自笑傑作集: 上卷 Google Books
  • 其磧自笑傑作集: 下卷 Google Books
  • 校訂 気質全集 全 Google Books
  • 校訂 珍本全集 上卷 Google Books
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