糖原性アミノ酸

解糖系とクエン酸回路。

糖原性アミノ酸(とうげんせいアミノさん、Glucogenic amino acid)とは、脱アミノ化(アミノ基転移による場合を含む)を受けた後、炭素骨格が糖新生に用いられるアミノ酸のことである[1][信頼性要検証]クエン酸回路の中間体であるオキサロ酢酸から解糖系糖新生系)を経由して、グルコースに転換されうるアミノ酸のことである。オキサロ酢酸は、ホスホエノールピルビン酸を経由して糖新生に利用される[2][信頼性要検証]

ホスホエノールピルビン酸は、オキサロ酢酸脱炭酸によって生じ、1分子のGTP加水分解する。この反応はホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼによって触媒され、糖新生の律速段階となる[3]

GTP + オキサロ酢酸 {\displaystyle {\ce {->}}} GDP + ホスホエノールピルビン酸 + CO 2 {\displaystyle {\ce {CO2}}}

なお、ホスホエノールピルビン酸からピルビン酸に変化する反応は不可逆反応である。このため、ピルビン酸から解糖系の逆反応で直接糖新生を行うことはできない[4][信頼性要検証]

2-ホスホグリセリン酸 {\displaystyle {\ce {<=>}}} ホスホエノールピルビン酸 {\displaystyle {\ce {->}}} ピルビン酸

分類

糖新生 (茶:糖原性、緑:ケト原性、紫:両方)

糖原性アミノ酸を以下に示す[5][信頼性要検証]

オキサロ酢酸のミトコンドリアの内膜の通過

オキサロ酢酸はそのままではミトコンドリアの内膜を通過できないので、ミトコンドリアから細胞質へのホスホエノールピルビン酸の輸送は、リンゴ酸/ホスホエノールピルビン酸シャトルによって調停される。

そして、オキサロ酢酸がミトコンドリアから出るためにリンゴ酸デヒドロゲナーゼによってリンゴ酸に還元され、リンゴ酸としてミトコンドリア内膜を通過する。ミトコンドリア外の細胞質で再びリンゴ酸デヒドロゲナーゼによってオキサロ酢酸に酸化され、最終的にはホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)によってホスホエノールピルビン酸に変換される。全体的にこの反応のギブズエネルギーの総和は⊿G'゜=0.9 kJ/molである。

  • (ミトコンドリア内)

段階1:ピルビン酸+HCO
3
ATPオキザロ酢酸+ADP+Pi

ピルビン酸カルボキシラーゼにより進む。

段階2:オキザロ酢酸 + NADH + H + {\displaystyle {\ce {+ NADH + H+ <->}}} L-リンゴ酸 + NAD {\displaystyle {\ce {+ NAD}}}

リンゴ酸デヒドロゲナーゼにより進む。
(リンゴ酸-アスパラギン酸シャトルによりリンゴ酸としてミトコンドリア内膜、外膜を通過し細胞質に到達)

段階3:L-リンゴ酸 + NAD {\displaystyle {\ce {+ NAD <->}}} オキザロ酢酸 + NADH + H + {\displaystyle {\ce {+ NADH + H^+}}}

この反応もリンゴ酸デヒドロゲナーゼにより進む。

段階4:オキザロ酢酸+GTPホスホエノールピルビン酸 + GDP + CO 2 {\displaystyle {\ce {+ GDP + CO2}}}

ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(phosphoenolpyruvate carboxykinase)により進む。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ 食品栄養学(タンパク質) 参考書としてあげられる教科書3文献は、1990年2冊と1996年1冊
  2. ^ 糖新生 講義資料のページ
  3. ^ “InterPro: IPR008209 Phosphoenolpyruvate carboxykinase, GTP-utilising”. 2007年8月17日閲覧。
  4. ^ 解糖 講義資料のページ
  5. ^ アミノ酸の分解 講義資料のページ

関連項目

主なトピック
特性
脂肪族
芳香族
極性なし
正電荷 (pKa)
負電荷 (pKa)
分類
ケト原性アミノ酸(K)
アセチルCoA
リシン
ロイシン
トリプトファンアラニン
糖原性アミノ酸(G)
G→ピルビン酸クエン酸
グリシンセリン
G→グルタミン酸
α-ケトグルタル酸
ヒスチジン
プロリン
アルギニン
G→プロピオニルCoA
スクシニルCoA
バリン
イソロイシン
メチオニン
トレオニン
プロピオニルCoA
G→フマル酸
フェニルアラニンチロシン
G→オキサロ酢酸

尿素回路を参照

その他
システイン代謝