哀愁でいと

デビューに際して、NAVの制作ディレクター・羽島亨のもと、約10曲のオリジナル曲が制作されたが、結果的にこのカバー曲が採用された。すこしでも原曲と同じサウンドにしたいという事務所の意向で、サビの「バイバイ哀愁でいと」という印象的なコーラス・フレーズは、「I should date」という感じでアメリカっぽく発音して下さいと、コーラス担当のEVEに依頼したという^[1]。

本作の発売後、まもなくNAVを吸収しレーベル化したキャニオン・レコード（現：ポニーキャニオン）は、1980年にレイフ・ギャレットが所属していたレーベルであるスコッティ・ブラザーズ（英語版）の発売権を獲得している。

音楽性

哀愁でいと

たのきんトリオが出演していたドラマ『ただいま放課後』の挿入歌に起用され、オリジナル曲は、アメリカの歌手レイフ・ギャレットの『New York City Nights』である。この楽曲は日本では当初、アルバム『Feel the Need』（1978年）からのセカンドシングル「フィール・ザ・ニード」のB面として1979年6月にシングル発売されたが、のちにAB面を逆にして再びプロモーションされオリコンで最高76位を記録した曲である。1980年11月には『哀愁でいと』のヒットを受けてシングルが再発売され、オリコン最高56位まで上昇した。

ちなみにジャニーズ勢によるレイフの楽曲のカバーは、1979年に発売された川﨑麻世のシングル『レッツゴーダンシング』（原題：I Was Made for Dancin'（英語版））^[2]がある。

君に贈る言葉 (アフター･スクール)

ファーストアルバム『田原俊彦』の収録曲「アフター・スクール」をBGMに女声コーラスをバックにして、冒頭及び曲の終わり際にのみ歌パートがある。たのきんトリオ（田原・近藤・野村）による台詞の掛け合いで構成された曲で、近藤・野村はまだ二人共、正式にレコードデビューをする前であった。

リリース

1980年 6月21日に、NAVレコードから発売された。田原のシングルとしては唯一、NAVレコードからのリリース作品で（次作以降はキャニオン・レコードからのリリースで、NAVはキャニオン内の一レーベル扱いとなる）、かつ唯一価格600円でリリースされた作品（次作以降は定価700円）。

初回プレス盤は「TOSHI」のロゴが入ったオレンジ色の特製レコード袋が使用された。また、店舗によっては特典として田原のメッセージを録音した名刺大のソノシートが封入された。

テレビ番組での披露

テレビの歌番組ではバックダンサーのジャPAニーズとともに出演した。ジャPAニーズとの出演は中断を挟んで1982年のシングル「君に薔薇薔薇…という感じ」まで続いた。このスタイルは田原のダンスのうまさも手伝って、日本におけるダンスビートにのせて踊りながら歌うポップスの男性アイドルとしての存在を明確にした^[1]。

フジテレビ系列『夜のヒットスタジオ』では、1980年8月に引退目前だった山口百恵が、同番組冒頭のオープニングメドレーで、当曲の出だしを歌唱していた。

1980年大晦日放送の『第31回NHK紅白歌合戦』に初出場を果たし^[3]「たのきんトリオ」のメンバー・近藤真彦と野村義男も田原の応援として出演している。

記録

オリコンチャート上の同曲の推定売上は71.9万枚で、2016年現在、田原のシングルでは最大のセールスを記録している。TBSテレビ「ザ・ベストテン」では登場8週目の1980年8月28日より3週連続で第1位を獲得した。

収録曲

7インチレコード
#	タイトル	作詞	作曲	備考	時間
全編曲: 飛澤宏元。
1.	「哀愁でいと」(NEW YORK CITY NIGHTS)	Andrew Joseph DiTaranto, Guy Hemric 日本語詞: 小林和子	Andrew Joseph DiTaranto, Guy Hemric		2:45
2.	「君に贈る言葉 (アフター･スクール)」	小林和子	宮下智	企画: 近藤真彦構成: 田原俊彦・近藤真彦・野村義男レコード・プレイ: 西ゆうじ歌とナレーション: 田原俊彦・近藤真彦・野村義男	3:34
合計時間:					6:19

カバー

いずれも哀愁でいととしての日本語詞によるもの。

PUFFY - 2002年『THE HIT PARADE』に収録。
中澤京子 - 2004年シングル発売。
寺脇康文 - 日本テレビ系ドラマ『地球ゴージャスな夜』第1話エンディング

脚注

[脚注の使い方]

^ ^a ^b 羽島亨「ライナーノート」（『BEST OF TOSHIHIKO TAHARA』）（ポニーキャニオン、1998年）
^ 川崎麻世『レッツゴーダンシング』1979年 7月21日発売 CBS/SONY EP:06SH 564
^ “第31回NHK紅白歌合戦”. NHK紅白歌合戦ヒストリー. NHK. 2021年12月21日閲覧。

参考資料

アルバム『田原俊彦 (アルバム)』（キャニオン・レコード、1980年）
アルバム『田原俊彦A面コレクション』（キャニオン・レコード、1986年）
アルバム『BEST OF TOSHIHIKO TAHARA』（ポニーキャニオン、1998年）

外部リンク

“365日あの頃ヒットランキング【1980年7月】哀愁でいと／予感はあった…田原俊彦デビュー曲にして最大のヒット曲”. スポーツニッポン (スポーツニッポン新聞社). (2011年7月10日). https://www.sponichi.co.jp/entertainment/yomimono/music/anokoro/07/kiji/K20110710001168380.html 2017年6月2日閲覧。

田原俊彦

シングル

1980年代	1.哀愁でいと 2.ハッとして!Good 3.恋＝（は）Do! 4.ブギ浮ぎI LOVE YOU 5.キミに決定! 6.悲しみ2(TOO)ヤング 7.グッドラックLOVE 8.君に薔薇薔薇…という感じ 9.原宿キッス 10.NINJIN娘 11.誘惑スレスレ 12.ラブ・シュプール 13.ピエロ 14.シャワーな気分 15.さらば‥夏 16.エル・オー・ヴイ・愛・N・G 17.チャールストンにはまだ早い風の上ならSO HAPPY 18.騎士道 19.顔に書いた恋愛小説（ロマンス） 20.ラストシーンは腕の中で 21.銀河の神話 22. 堕ちないでマドンナ 23.華麗なる賭け 24.It's BAD 25.Hardにやさしく 26.ベルエポックによろしく 27.あッ 28.KID 29.“さようなら”からはじめよう 30.どうする? どうする? (Remix Version) 31.夢であいましょう 32.抱きしめてTONIGHT 33.かっこつかないね 34.愛しすぎて 35.ごめんよ涙 36.ひとりぼっちにしないから
1990年代	37.ジャングルJungle 38.NUDE 39.夏いまさら一目惚れ 40.思い出に負けない 41.雨が叫んでる 42.ダンシング・ビースト 43.KISSで女は薔薇になる 44.雪のないクリスマス 45.魂を愛が支配する 46.真夜中のワンコール 47.DA・DI・DA 48.A NIGHT TO REMEMBER 49.EASY...LOVE ME... 50.キミニオチテユク 51.涙にさよならしないか
2000年代	52.抱きしめていいですか 53.DO-YO 54.DANGAN LOVE-弾丸愛- 55.願いを星の夜へ‥‥ 56.ジラシテ果実 57.Cordially
2010年代	58.シンデレラ 59.Rainy X'mas Day 60.さよならloneliness 61.BLUE (feat.LUVandSOUL) 62.ヒマワリ/星のように 63.Mr. BIG 64.LOVE&DREAM feat.SKY-HI/Bonita 65.BACK TO THE 90's 66.TRUE LOVE〜約束の歌〜 67.ときめきに嘘をつく 68.フェミニスト 69.Escort to my world 70.好きになってしまいそうだよ 71.愛は愛で愛だ
2020年代	72.HA-HA-HAPPY 73.ロマンティストでいいじゃない 74.ダンディライオン
DVDシングル	Always You
デュエット	夏ざかりほの字組 (Toshi & Naoko) 恋すれどシャナナ (田原俊彦 & 研ナオコ)

オリジナル・アルバム

1980年代	1.田原俊彦 2.TOSHI'81 3.No.3 Shine Toshi 4.夏一番 5.EVE only 6.波に消えたラブ・ストーリー 7.ジュリエットからの手紙 8.メルヘン 9.TOSHI 10R NEW YORK 10.Don't disturb 11.失恋美学 12.男…痛い 13.目で殺す 14.YESTERDAY MY LOVE 15.Dancin' 16.TOKYO BEAT
1990年代	17.DOUBLE“T” 18.夏の王様〜MY BLUE HEAVEN〜 19.GENTLY 20.MORE ELECTRIC 21.TENDERNESS 22.Vintage 37
2010年代	23.I AM ME!

カバー・アルバム

1.MY FAVORITE SONGS

ベスト・アルバム

1980年代	1.ベストオブ田原俊彦 2.田原俊彦A面コレクション 3.田原俊彦B面コレクション 4.NON-STOP TOSHI 5.Thank You, for GLORIOUS HITS 36in 10years
1990年代	6.BEST 1987〜1991 7.PRESENTS 〜THE GREATEST HITS IN 15YEARS〜 8.BEST OF TOSHIHIKO TAHARA
2000年代	9.Dynamite Survival 10.Myこれ!クション田原俊彦 11.♥'MOTTO+MS005
2010年代	12.30th Anniversary BEST 13.35th Anniversary All Singles Best 1980-2014
2020年代	14.オリジナル・シングル・コレクション 1980-2021

出演テレビドラマ

出演映画

出演テレビ・ラジオ番組

表話編歴 1980年のザ・ベストテン1位獲得作品（第135回-第137回）
1月	10日・17日異邦人 -シルクロードのテーマ-（久保田早紀） 24日おまえとふたり（五木ひろし） 31日大都会（クリスタルキング）
2月	7日・14日・21日・28日大都会（クリスタルキング）
3月	6日・13日・20日大都会（クリスタルキング） 27日贈る言葉（海援隊）
4月	3日・10日・17日・24日贈る言葉（海援隊）
5月	1日贈る言葉（海援隊） 8日・15日謝肉祭（山口百恵） 22日蜃気楼（クリスタルキング） 29日謝肉祭（山口百恵）
6月	5日・12日・19日蜃気楼（クリスタルキング） 26日ダンシング・オールナイト（もんた&ブラザーズ）
7月	3日ダンシング・オールナイト（もんた&ブラザーズ） 10日・17日ロックンロール・ウィドウ（山口百恵） 24日・31日ダンシング・オールナイト（もんた&ブラザーズ）
8月	7日・14日・21日ダンシング・オールナイト（もんた&ブラザーズ） 28日哀愁でいと（田原俊彦）
9月	4日・11日哀愁でいと（田原俊彦） 18日・25日青い珊瑚礁（松田聖子）
10月	2日青い珊瑚礁（松田聖子） 9日・16日パープルタウン（八神純子） 23日・30日ハッとして!Good（田原俊彦）
11月	6日・13日ハッとして!Good（田原俊彦） 20日・27日風は秋色（松田聖子）
12月	4日・11日風は秋色（松田聖子） 18日・25日恋人よ（五輪真弓）

哀愁でいと

背景

音楽性