1982年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)優勝決定戦の第79回ワールドシリーズ(79th World Series)は、10月12日から20日にかけて計7試合が開催された。その結果、セントルイス・カージナルス(ナショナルリーグ)がミルウォーキー・ブルワーズ(アメリカンリーグ)を4勝3敗で下し、15年ぶり9回目の優勝を果たした。
両球団の本拠地都市がいずれもビール醸造の盛んな土地柄であるため[注 2]、今シリーズはビールという意味の俗語を冠して "サッズ・シリーズ"(Suds Series)とも呼ばれた[3]。第1戦ではブルワーズのポール・モリターが1試合5安打のシリーズ新記録を樹立し、試合もブルワーズが先勝したものの[4]、シリーズは最終第7戦までもつれた末にカージナルスが制した。ブルワーズは1997年シーズン終了後にアメリカンリーグからナショナルリーグへ転籍したため、再転籍がない限り、アメリカンリーグの球団としてシリーズに出場するのは今回が最初で最後となる。シリーズMVPには、第2戦の6回裏に同点の2点二塁打を放つなど、7試合で打率.286・1本塁打・5打点・OPS.775という成績を残したカージナルスのダレル・ポーターが選出された。
ワールドシリーズでは1976年から指名打者(DH)制度が導入され、1985年までの10年間は、偶数年は全試合で採用、奇数年は全試合で不採用とされていた[5]。したがって今シリーズでは、DH制が全試合で採用されている。
試合結果
1982年のワールドシリーズは10月12日に開幕し、途中に移動日を挟んで9日間で7試合が行われた。日程・結果は以下の通り。
日付 | 試合 | ビジター球団(先攻) | スコア | ホーム球団(後攻) | 開催球場 |
10月12日(火) | 第1戦 | ミルウォーキー・ブルワーズ | 10-0 | セントルイス・カージナルス | ブッシュ・スタジアム | |
10月13日(水) | 第2戦 | ミルウォーキー・ブルワーズ | 4-5 | セントルイス・カージナルス |
10月14日(木) | | 移動日 | |
10月15日(金) | 第3戦 | セントルイス・カージナルス | 6-2 | ミルウォーキー・ブルワーズ | ミルウォーキー・ カウンティ・スタジアム |
10月16日(土) | 第4戦 | セントルイス・カージナルス | 5-7 | ミルウォーキー・ブルワーズ |
10月17日(日) | 第5戦 | セントルイス・カージナルス | 4-6 | ミルウォーキー・ブルワーズ |
10月18日(月) | | 移動日 | |
10月19日(火) | 第6戦 | ミルウォーキー・ブルワーズ | 1-13 | セントルイス・カージナルス | ブッシュ・スタジアム |
10月20日(水) | 第7戦 | ミルウォーキー・ブルワーズ | 3-6 | セントルイス・カージナルス |
優勝:セントルイス・カージナルス(4勝3敗 / 15年ぶり9度目) |
第1戦 10月12日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
5回表、テッド・シモンズのソロ本塁打でブルワーズが4点目を挙げる(50秒) |
6回表、ロビン・ヨーントの2点二塁打でカージナルス先発ボブ・フォーシュが降板に追い込まれる(52秒) |
9回表、ブルワーズのポール・モリターが内野安打を放ち、1試合5安打のワールドシリーズ新記録を樹立(36秒) |
9回裏、マイク・コールドウェルがジョージ・ヘンドリックを一邪飛に仕留めて完封を果たし、ブルワーズが先勝(52秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
ミルウォーキー・ブルワーズ | 2 | 0 | 0 | 1 | 1 | 2 | 0 | 0 | 4 | 10 | 17 | 0 |
セントルイス・カージナルス | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 1 |
- 勝:マイク・コールドウェル(1勝) 敗:ボブ・フォーシュ(1敗)
- 本塁打
MIL:テッド・シモンズ1号ソロ
- 審判
[球審]リー・ウェイヤー(NL)
[塁審]一塁: ビル・ハラー(AL)、二塁: ジョン・キブラー(NL)、三塁: デーブ・フィリップス(AL)
[外審]左翼: サッチ・デビッドソン(NL)、右翼: ジム・エバンス(AL) - 夜間試合 試合時間: 2時間30分 観客: 5万3723人
詳細: Baseball-Reference.com
第2戦 10月13日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
6回裏、ダレル・ポーターの2点二塁打でカージナルスが同点に追いつく(1分9秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
ミルウォーキー・ブルワーズ | 0 | 1 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 4 | 4 | 10 | 1 |
セントルイス・カージナルス | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | X | 5 | 8 | 0 |
- 勝:ブルース・スーター(1勝) 敗:ボブ・マクルーア(1敗)
- 本塁打
MIL:テッド・シモンズ2号ソロ
- 審判
[球審]ビル・ハラー(AL)
[塁審]一塁: ジョン・キブラー(NL)、二塁: デーブ・フィリップス(AL)、三塁: サッチ・デビッドソン(NL)
[外審]左翼: ジム・エバンス(AL)、右翼: リー・ウェイヤー(NL) - 夜間試合 試合時間: 2時間54分 観客: 5万3723人
詳細: Baseball-Reference.com
第3戦 10月15日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
カージナルスのウィリー・マギーが5回表に先制の3点本塁打、7回表にソロ本塁打を放つ(1分36秒) |
9回裏、ブルワーズのゴーマン・トーマスが放った本塁打性の打球を、中堅手マギーがジャンピングキャッチ(52秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
セントルイス・カージナルス | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 2 | 0 | 1 | 6 | 6 | 1 |
ミルウォーキー・ブルワーズ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 2 | 5 | 3 |
- 勝:ウォーキーン・アンドゥハー(1勝) 敗:ピート・ブコビッチ(1敗) S:ブルース・スーター(1勝1S)
- 本塁打
STL:ウィリー・マギー1号3ラン・2号ソロ
MIL:セシル・クーパー1号2ラン - 審判
[球審]ジョン・キブラー(NL)
[塁審]一塁: デーブ・フィリップス(AL)、二塁: サッチ・デビッドソン(NL)、三塁: ジム・エバンス(AL)
[外審]左翼: リー・ウェイヤー(NL)、右翼: ビル・ハラー(AL) - 夜間試合 試合時間: 2時間53分 観客: 5万6556人
詳細: Baseball-Reference.com
第4戦 10月16日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
2回表一死二・三塁、トム・ハーの中飛で三塁走者ウィリー・マギーだけでなく二塁走者オジー・スミスも生還し、カージナルスが2点を追加(1分3秒) |
5回表一死一・三塁、ブルワーズのジム・ガントナーが放った打球を遊撃手O・スミスが好守で併殺に(54秒) |
7回裏二死満塁、ロビン・ヨーントのハーフスウィングにボールが当たり、2点適時打となってブルワーズが1点差に詰め寄る(32秒) |
次打者セシル・クーパーの打球は三塁手ケン・オバークフェルが捕球できず、三塁走者が生還し同点に(32秒) |
さらに二死満塁から、ゴーマン・トーマスの2点適時打でブルワーズが勝ち越し(48秒) |
9回表、ボブ・マクルーアが代打ジーン・テナスを空振り三振に仕留めて試合終了、ブルワーズが2勝2敗のタイに(38秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
セントルイス・カージナルス | 1 | 3 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 5 | 8 | 1 |
ミルウォーキー・ブルワーズ | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 6 | 0 | X | 7 | 10 | 2 |
- 勝:ジム・スレイトン(1勝) 敗:ダグ・ベアー(1敗) S:ボブ・マクルーア(1敗1S)
- 審判
[球審]デーブ・フィリップス(AL)
[塁審]一塁: サッチ・デビッドソン(NL)、二塁: ジム・エバンス(AL)、三塁: リー・ウェイヤー(NL)
[外審]左翼: ビル・ハラー(AL)、右翼: ジョン・キブラー(NL) - 昼間試合 試合時間: 3時間4分 観客: 5万6560人 気温: 47°F(8.3°C)
詳細: Baseball-Reference.com
第5戦 10月17日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
7回裏、ロビン・ヨーントのソロ本塁打でブルワーズのリードが2点に広がる(1分8秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
セントルイス・カージナルス | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 2 | 4 | 15 | 2 |
ミルウォーキー・ブルワーズ | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 2 | X | 6 | 11 | 2 |
- 勝:マイク・コールドウェル(2勝) 敗:ボブ・フォーシュ(2敗) S:ボブ・マクルーア(1敗2S)
- 本塁打
MIL:ロビン・ヨーント1号ソロ - 審判
[球審]サッチ・デビッドソン(NL)
[塁審]一塁: ジム・エバンス(AL)、二塁: リー・ウェイヤー(NL)、三塁: ビル・ハラー(AL)
[外審]左翼: ジョン・キブラー(NL)、右翼: デーブ・フィリップス(AL) - 昼間試合 試合時間: 3時間2分 観客: 5万6562人
詳細: Baseball-Reference.com
第6戦 10月19日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
5回裏、キース・ヘルナンデスの2点本塁打でカージナルスが7点目を挙げる(58秒) |
6回裏、ヘルナンデスの2点適時打でカージナルスのリードが10点に広がる(28秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
ミルウォーキー・ブルワーズ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 4 | 4 |
セントルイス・カージナルス | 0 | 2 | 0 | 3 | 2 | 6 | 0 | 0 | X | 13 | 12 | 1 |
- 勝:ジョン・ステューパー(1勝) 敗:ドン・サットン(1敗)
- 本塁打
STL:ダレル・ポーター1号2ラン、キース・ヘルナンデス1号2ラン - 審判
[球審]ジム・エバンス(AL)
[塁審]一塁: リー・ウェイヤー(NL)、二塁: ビル・ハラー(AL)、三塁: ジョン・キブラー(NL)
[外審]左翼: デーブ・フィリップス(AL)、右翼: サッチ・デビッドソン(NL) - 夜間試合 試合時間: 2時間21分 観客: 5万3723人
詳細: Baseball-Reference.com
第7戦 10月20日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
カージナルスの先発投手ウォーキーン・アンドゥハーが7回3失点で勝利投手となる(3分3秒) |
6回裏、キース・ヘルナンデスの2点適時打でカージナルスが同点に追いつく(55秒) |
9回表、ブルース・スーターがゴーマン・トーマスを空振り三振に仕留めて試合終了、カージナルスの優勝が決定(56秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
ミルウォーキー・ブルワーズ | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 3 | 7 | 0 |
セントルイス・カージナルス | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 3 | 0 | 2 | X | 6 | 15 | 1 |
- 勝:ウォーキーン・アンドゥハー(2勝) 敗:ボブ・マクルーア(2敗2S) S:ブルース・スーター(1勝2S)
- 本塁打
MIL:ベン・オグリビー1号ソロ
- 審判
[球審]リー・ウェイヤー(NL)
[塁審]一塁: ビル・ハラー(AL)、二塁: ジョン・キブラー(NL)、三塁: デーブ・フィリップス(AL)
[外審]左翼: サッチ・デビッドソン(NL)、右翼: ジム・エバンス(AL) - 夜間試合 試合時間: 2時間50分 観客: 5万3723人
詳細: Baseball-Reference.com
脚注
注釈
出典
- ^ "World Series Television Ratings," Baseball Almanac. 2019年10月15日閲覧。
- ^ Craig Gustafson, "Friendship with Brewers begins anew," Duluth News Tribune, October 9, 2011. 2019年10月15日閲覧。
- ^ The Associated Press, "This Date In Baseball," Associated Press News, October 7, 2018. 2019年10月15日閲覧。
- ^ John Cronin, "The Historical Evolution of the Designated Hitter Rule," Society for American Baseball Research, 2016. 2019年10月15日閲覧。
外部リンク
- MLB.com Postseason History(英語)
- Baseball Almanac(英語)
- Baseball-Reference.com(英語)
- 1982 World Series - IMDb(英語)
- 動画共有サイト "YouTube" にMLB公式アカウントが投稿した試合映像
- 第7戦:1982 World Series, Game 7: Brewers @ Cardinals
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セントルイス・カージナルス |
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球団 | |
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歴代本拠地 | |
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永久欠番 | |
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カージナルス球団殿堂 | |
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ワールドシリーズ優勝(11回) | |
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ワールドシリーズ敗退(08回) | |
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リーグ優勝(19回) | |
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できごと | |
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傘下マイナーチーム | |
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ミルウォーキー・ブルワーズ |
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球団 | |
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歴代本拠地 | |
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文化 | |
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永久欠番 | |
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ブルワーズ・ ウォーク・オブ・フェイム | |
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ブルワーズ球団殿堂 | |
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ワールドシリーズ敗退(1回) | |
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リーグ優勝(1回) | |
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傘下マイナーチーム | |
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